
2009年7月アメリカノースウエスト地方、WA州シアトル近郊とOR州 ポートランドへランドスケープアーキテクト小出兼久氏の案内で 低影響開発(L.I.D)の視察に行ってきました。 今回のレポートはL.I.Dだけでは無くゼリスケープやアメリカの ランドスケープ事情についても説明したいと思います。 またL.I.Dに対して建築物の方ではLEED認定という格付けシステム がありこれは建築物が環境にたいしてどれほど貢献しているかを 表すもので(エネルギー効率、リサイクル資源使用、雨水利用等の 数十項目を満たしているものに金、銀、銅のメダルが与えられる) L.I.Dと切り離す事ができないものです。日本でも最近になって大手 ゼネコンがLEED認定を受けるべく動き出しています。
ワシントン州編
空から見たシアトル近郊は森の中に住宅が見え隠れする緑豊かな ところだった。ゴールドラッシュ当時、採掘のために殆どの木が 切り倒された。荒れ果てた大地が現在では人間の手によって森の 再生を果たしている。 シアトルの地下にはアンダーグランドと呼ばれる旧市街がある。 昔、大雨のたび排水があふれ、都市型洪水に悩まされた市長の 決断で旧市街の上に新しい街を作った。これによりシアトル の雨水排水能力が向上し問題は解決された。このような歴史的 背景があるためかシアトル近郊の住宅開発に低影響開発がさかんに 行われている。 09年8月 ワシントン州では低影響開発を盛り込 んだ計画でなければ開発許可を出さない州法が可決された。
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シアトル市内 レイクユニオン湖畔のガスワークパーク かってここはガスプラントがあった。公害が 著しいためそのプラントは廃止された。負の遺産とも言えるプラントのメイン部分を残し周辺は公園として整備され今では市民の憩いの広場となっている。 |
シアトルの中央を南北に走るフリーウエイ I-5 がある。その上に 巨大な人工地盤のブリッジをかけ、そこを公園にすると言うフリー ウエイパーク構想。今から30年も前の話だが、ルーフガーデンの 元祖とも言えるものではないだろうか。これは、フリーウエイに降 る雨水を無駄にすることなく、植物を使って水を浄化する効果がある。
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フリーウエイパーク とても人工地盤上とは思えない広大な面積 でシアトル市内に数箇所ある。 写真は日本領事館があるシアトルセンター 付近、中央のオブジェはジョージワシントの 横顔をモチーフとしたトピアリー。 |
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フリーウエイパーク 日本領事館前の六方石の景石。和風の ように見えるが ノースウエストの 山地で採掘されアメリカでもかなり使われている |
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フリーウエイパーク〜シアトル市庁舎へ向かう カスケード 地盤の勾配をいかし、水を流している。 六方石の石組みはアメリカ人の手で組まれた 物とは思えないほど緻密で繊細なものだった。 |
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シアトル市庁舎〜 レイクワシントンへ向かうカスケード フリーウエイパークから一直線に伸びている。 通りの両側には桜の キャノピーが植栽されている。 |
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シアトル市庁舎〜レイクワシントンを望む 水音と心地よい風、そして光。すべてが 計算された空間で、春には桜の花が満開 になる。 |
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シアトルダウンタウン コミニティーガーデン かってここは犯罪の多い地域で、庭を通じてコミニケーションし 人の心を癒そうとワシントン大のプログラムで作られた庭です。その甲斐あってか現在犯罪は激減したと言う事です。 |
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上:コミニティーガーデン内部 ここに行くとガーデナーがいて説明してくれます。雨水タンクをずらっと 並べてその水を使用しています。上中:雨が降るとオブジェの上を雨水 が流れていく様子がみえます。1区画は小さいけれど全体をみると見事な 庭になっている。
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シアトルダウンタウン REIの庭 小出兼久氏がランドスケープとして携わった、アウトドア用品の モール。とても人工物 とは思えない景観。 |
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上:本物としか見えない滝と森。実物を見ていただけないのが 残念です。
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左上:シアトルで最初にできた公園のサイン。1884年竣工 DennyPark 中上:DennyPark 巨大なプラタナスの森になっている。 右上:シアトルチャイナタウン付近の街路樹。大きな木は切ってはいけない ルールのため通りいっぱい樹冠をひろげ巨大なキャノピーになっている。
シアトル近郊にウッドランドパーク動物園がある。
ここは動物の生息地を再現したランドスケープで、世界中の動物園
の見本になった場所である。
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左上 : Zoomazium 草屋根と巨大な雨樋がレインチェーンを介して雨水を地下に浸透させている。右上 : 園路から見ると草屋根が周囲の木々に溶け込み違和感はない。
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左上 : 園内にある浸透性舗装のサイン。今、アメリカではアスファルト等の 非浸透性舗装を廃止しようと言う運動がおこっている。これは豪雨時に 雨水が一気に排水枡に流れ込み処理能力を上回り都市型洪水を引き起こす ため、浸透性舗装にやりかえ地下に浸透させようとするものである。 右上 :グラベル舗装(砕石)とオーバーフロー枡
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左上 : 植物で水質浄化するサイン。これはペンギンプールのオーバーフロー を根茎をフィルターとして濾過するものである。 右上 :ペンギンプールの バイオレメデーション
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左上:園内雨樋からの雨水タンク。右上:シアトル周辺の湖川は汚染されていて 鮭がいなくなってしまった。鮭の棲める川を取り戻そうという啓発の意味をこめた ステッカー。もちろん人間も遊泳禁止の湖が多いのです。
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シアトル市内ワシントン大学付属植物園 2000/7まで小出兼久氏がワシントン大と共同で夏期セミナーを行っていました。 |
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上:グラス類を多く植栽している。雨水はクリークを抜け浄化され レイクワシントンに流れる。その昔アメリカの国土の80%はプレーリー (草原)だったといわれアメリカ人の原風景なのかもしれない。
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上:植物研究室 環境テロリストによって放火され全焼したので最近 建て直した。LEEDシルバーメダル認証。研究室からの雨水を濾過する 階段状のフィルター。将来的には植栽予定もあるそうだ。
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上:ワシントン大のグラスボーダー 日本でもお馴染みのイトススキやカレクス、チカラシバなどが多い ただ、株のサイズはありえないほど大きい。気候の関係だろう。
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シアトル近郊ハイポイントタウン 今回視察の目玉の一つ。大規模な低影響開発による団地 |
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左上:ハイポイントタウンのコミュニティーガーデン。右上:遊園地 ハイポイントでは視線を遮る高い塀は作れない。これはどこからでも子供 達が遊んでいる様子が見えるようにするためで、防犯を目的としたものである。 地域ぐるみで子育てをする昔の日本の様子ににている。
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ここではすべての住宅の雨樋がレインチェーンで地下に浸透され低湿地をながれ灌水を行う。大規模団地でこれをする事により雨水の無駄な流出を抑えている。 |
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左上:低湿地 中上:雨水流入口 右上:低湿地 低湿地の植物は基本的に灌水不要なゼリスケーププランツが多い。 一度雨が降ると道路の水は低湿地に流れ込み植物を潤し、水を浄化する。
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上:ハイポイント内の道路はあえて、幅員を狭くとってある。 アメリカにしては珍しくビルドインの駐車場が無いのである。道路が 駐車場になっているようだ。これにより通過する自動車が速度を抑え ざる得ない。大型車も通過困難なので事故防止にもなっている。まさに 逆転の発想である。車道と歩道の間は低湿地になっていて団地内の雨水 がすべて流れ込んでくる。
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上:低湿地内でさばききれない水はオーバーフロードレンで吸収し、 調整池へ流す。水たまりになると蚊が発生してしまうので低湿地は満水 になっても5時間程度で地下に浸透する設計になっている。
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上:ハイポイントの雨水はこの調整池に集まり、浄化されレイクワシントンに 流れる。池の周辺は公園になっており地域住民がコミニケーションを取る場所に なっている。
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ベルビュー市 ボタニカルガーデン ここは普通の植物園とは少しばかり違います。 個人邸の庭造りのヒントになるように展示されていて、そのなかにゼリスケープガーデン(ウオーターワイズガーデン)もあります。 |
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左上:グラスボーダー 中:宿根草ボーダー 右上:グラスと宿根草ミックスボーダー
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上:ウオーターワイズガーデンの見本 ゼリスケーププランツとドリップチューブでの植栽
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上:ウオーターワイズガーデンに関するサイン。
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ベルビュー市 シティーセンターのモール 最近できたモールで周辺道路はL..I.Dで施工されている。ここでもグラス類とゼリスケーププランツによる植栽がなされていた。 |
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左上:モール入り口のレメデーション 中:壁面緑化の根元付近。雨樋から雨水がアイビーを灌水する。
右上:駐車場入り口のレメデーション
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左上:中央分離帯の緑地帯。樹木の根元にはグラス類をあしらっている 中、右上:歩道側緑地帯。グラスと一年草のミックスボーダー。日本で は見たこともない景観だが、L.I.Dならではの植栽である。
WA州編は終了です。いかがだったでしょうか?このページに掲載した画像はほんの一部にしか過ぎません。膨大な画像のためすべてをお見せする事
ができませんでした。友人、知人のランドスケープ関連の人に見てもらった
感想を聞くと。グラスだらけで、何だか西部劇の荒野を連想させられると言う人もいましたが、日本では日本人にあった景観と植物に置き換えることは可能なので。まだまだ研究の余地はあるかと思います。